日経平均ダブルインバースについて、初心者向けに解説をします!
第三弾のこの記事では、ダブルインバースのリスクに焦点を当てて解説します。
第一弾はこちらから
▷▷▷日経平均ダブルインバース【 初心者向け解説① 】まずは一緒に基礎知識の確認を!
第二弾はこちらから
▷▷▷日経平均ダブルインバース【 初心者向け解説② 】メリットについて知ろう!
①価格変動リスク
ダブルインバースは指数(日経平均株価)に連動した銘柄ですが、一般的な株式と同じように価格変動のリスクがあります。
ダブルインバースは日経平均株価が1%上昇すれば約2%下落し、1%下落すれば約2%上昇するため、他の指数関連銘柄に比べて値動きがやや大きいです。
値動きが大きいのはリスクにつながりますが、チャンスでもあります。
②上場廃止リスク
一般的に、株式会社は「倒産」という形で会社が無くなる危険性をはらんでいます。
倒産してしまえば株価の価値は0円になるため、その会社の株を持っていた人は大きな損害を被ることになります。
一方、ダブルインバースに倒産という概念はありませんが「上場廃止」という形によって無くなる危険性はあります。
上場廃止になる条件はいくつかありますが、この場では上場廃止の条件の説明ではなく、上場廃止になったらどうなるかを説明します。
ダブルインバースが何らかの理由で上場廃止になった場合、【 償還(しょうかん)】というものが行われ、資金が戻ってきます。
「それなら、万が一上場廃止になっても大丈夫なんだ」と僕も思いましたが、自分が購入した価格でそっくりそのまま戻ってくるわけではありません。
別の銘柄の話ですが、参考例になりそうな出来事を発見したので紹介します。
「NEXT NOTES S&P500 VIXインバース ETN」という、S&P500 VIX短期先物指数の変動率の反対方向(プラスならマイナス、マイナスならプラス)に変動する銘柄がありました。
米国株の恐怖指数(VIX)に連動する銘柄です。
この銘柄は2018年2月1日(木)の終値が34300円、2日(金)の終値は34900円でしたが、5日(月)に急落して終値が29400円になり、翌日6日(火)は値がつかないという事態になりました。
そしてなんと、7日(水)には1144円で償還される(こないだまで30000円ほどだったものが1144円の価値になって強制的に決済される)結果になりました。
この銘柄には「S&P500 VIX短期先物インバース日次指数が前日終値に対して20%以下になった場合は償還する」という条件があったのですが、その条件を軽々と満たしてしまったため、償還が発動されてしまいました。
このように、その銘柄によって設定された条件を満たしてしまうと価値が0円にはならないにせよ、大きな損失を被る危険性があることは念頭に入れておきましょう。
③ピッタリ『-2倍』ではないというリスク
ダブルインバースは、日々の騰落率が日経平均株価の騰落率の『-2倍』として計算されている指数となっています。
ここで注意したいのが、2日以上離れた日との比較においては単純に『-2倍』とはならないという点です。
文章では分かりにくいので、野村アセットマネジメント株式会社(https://nextfunds.jp/lineup/1357/)が配信している日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信【投資信託説明書(交付目論見書)】から図表を引用して紹介します。
全部で4つの図表を添付します。まずは1つ目の例です。
基準日を100(円)とした時に、1日目に日経平均株価が-5%の場合、ダブルインバースは-2倍となる+10%となります。
そして、2日目に日経平均株価が+10%の場合、ダブルインバースは-2倍となる-20%となります。
これを基準日の100に当てはめてみましょう。
【 1日目 】
日経平均株価は-5%なので「95」
ダブルインバースは+10%なので「110」
【 2日目 】
日経平均株価は+10%なので95×1.1=「104.5」
ダブルインバースは-20%なので110×0.8=「88」
基準は100なので、最終的に
日経平均株価は+4.5%(104.5)
ダブルインバースは-12%(88)
単純に「-2倍」であればダブルインバースは-9%になるはずですが、基準日から2日離れた日からは乖離が生じています。
2つ目の例です。
1つ目の例と同じように計算をしていくと、最終的に
日経平均株価は-5.5%(94.5)
ダブルインバースは+8%(108)
単純に「-2倍」であればダブルインバースは+11%になるはずですが、そうなっていません。
3つ目の例です。
最終的に
日経平均株価は+15.5%(115.5)
ダブルインバースは-28%(72)
「-2倍」であればダブルインバースは-31%です。
4つ目です。これが最後なのでお付き合い下さい。
日経平均株価は-14.5%(85.5)
ダブルインバースは+32%(132)
+29%ではなく、+32%になります。
ダブルインバースは「日経平均株価の騰落率の-2倍方向に動く」という銘柄ですが、このようにピッタリ-2倍で推移していく分けではないことがお分かり頂けたと思います。
そして、こちらの抜粋した文章をご覧ください。
今解説した内容が文章で記されています。
ですが、この文章だけだと何のこっちゃ分からないですよね。笑
補足ですが、ダブルインバースには年率0.88%の信託報酬が支払われるため、余計にピッタリ-2倍では推移しません。
よく「ダブルインバースは長期保有には適していない」と言われていますが、この2つの理由があったからなんですね。
この記事の解説をご覧頂いた方は
①日経平均株価とダブルインバースの騰落率はキッチリ-2倍ではない
②仕組み上、長期保有には適していない
という2点がお分かり頂けたかと思います。
今回はダブルインバースの3つのリスクについて紹介しました。
扱いが難しい面もありますが、市況次第では利益を得られる魅力的なものであることには変わりません。
日経平均ダブルインバース【 初心者向け解説①~③ 】をご覧になり、参考にして頂けたら嬉しいです!